顧問税理士を変更する理由とは。依頼の断り方と引き継ぎ方法

顧問税理士を変更する理由とは。依頼の断り方と引き継ぎ方法

会社の事業規模拡大や社長の代替わりするタイミングで、顧問税理士を変更するケースは少なくありません。

しかし、顧問税理士を替えるとなると、現在依頼している税理士との間にしこりが残る可能性や、引き継ぎがスムーズに行われるか不安が残ります。

本記事では、顧問税理士を変更する理由と、交代する際のポイントについて解説します。

事業者の顧問税理士変更は珍しい話ではない

顧問税理士を替える行為は、会社をより良い方向に導くための手段の一つです。

顧問税理士を変更する理由は経営者ごとに違う

似たようなサービスを受けられる事業者が複数あれば、料金やサービス内容を比較するように、顧問税理士選びは比較検討が大切です。

顧問税理士に求める条件は会社ごとに異なり、税理士を交代する理由も多様に存在します。

<顧問税理士を変更する主な理由>

  • 顧問税理士が提供するサービスに不満
  • 対応が遅い
  • 節税効果を実感できない
  • 費用対効果を得られていない
  • 税知識が不十分
  • 方針の相違
  • 経営体制の変更
  • 税理士事務所の体制変更

顧問税理士を変更する理由は一つとは限りません。

最低限の税務処理を依頼したいのであれば、報酬額の安い税理士を替えることも選択肢ですし、税理士に高い節税効果を期待している場合には、節税策を提案しない税理士との顧問契約は終了させた方がいいでしょう。

満足できる対価を得られているのであれば継続して依頼することに問題はありませんが、不満を抱えながら顧問税理士を頼み続けるのは会社にとっても良い状況とはいえませんので、状況によっては税理士を替える選択をしてください。

顧問契約は毎年更新されるもの

税理士変更に向けた行動は突発的に起こすのではなく、契約更新のタイミングで税理士を替えることができるよう、計画的に準備を進めることが大切です。

税理士との顧問契約は基本的に毎年更新するものですので、契約満了の都度、契約を更新するか判断することになります。

優秀な税理士は、依頼してもすぐに契約できるとは限りませんし、依頼する時期によっては断られることもあります。

顧問税理士を無理に変更する必要はありませんが、税理士を替えることで会社が発展する可能性はありますので、平常時から新しい税理士を探すようにしてください。

問題の放置は経営への悪影響につながる

現在依頼している税理士に不満がある場合、顧問税理士を変更しなければ経営に悪影響を及ぼします。

税理士は税務関係で最も信頼を置くべき存在ですので、相談しにくい場合や税務に関するアドバイスを的確に行わないときは、問題を放置せずに対処してください。

長年顧問を務めていた税理士に対して、契約延長を断るのは苦労するかもしれませんが、交代することで会社が良くなるのであれば、経営者として税理士変更の決断は不可欠です。

顧問税理士に契約終了を伝える際の注意点

顧問税理士に契約終了を伝える際、注意すべきポイントは3点あります。

この3点を遵守すれば、大きなトラブルもなく顧問税理士を交代することができます。

事前に契約期間を確認すること

顧問税理士に依頼している場合、基本的に顧問契約書を作成していると思いますので、契約書に記載されている契約期間を事前に確認してください。

1年ごとに契約更新する内容であったとしても、「契約終了の申し出は満了日の1か月前に行うこと」など、解約できるタイミングが別途定められていることがあります。

契約終了の申し出が期限を過ぎている場合、契約解除できないケースや、中途解約となったことで違約金を請求される可能性があるので注意してください。

契約終了は直接伝えること

トラブルを避けるために、契約を終了する際は電話ではなく、直接伝えることが望ましいです。

顧問税理士を交代するとしても、再び顧問税理士として依頼する可能性はゼロではありませんし、別の形で仕事を頼むことも考えられます。

契約終了時には税理士が管理していた書類等を返却してもらうことになりますが、税理士との関係性が崩れてしまった場合、引き継ぎがスムーズにいかない懸念が出てきます。

そのため顧問税理士を替えるときはスムーズに交代することを第一とし、契約を終了する理由を尋ねられた際は不満だった点を伝えるのではなく、やむを得ない事情で変更することになったことを理由に断りを入れてください。

不安がある場合は契約解除合意書を交わすこと

解約する際は顧問税理士に直接解約する旨を伝え、解約日を明確にしてください。

顧問契約の期間等を遵守していれば問題なく契約を終了することができますが、後々のトラブルを避けたい場合には、「顧問契約解除合意書」を作成することも選択肢です。

顧問契約解除合意書は、顧問契約が終了することを相手に意思表示するものであり、万が一に契約に関するトラブルが発生したとしても証拠として提示することが可能です。

相手に顧問契約解除合意書を提示した確実な証拠を得たい場合には、配達証明付き内容証明郵便で送付する方法もありますので、状況に応じた手段を用いてください。

顧問税理士を変更する際のポイント

税務関係の事務が停滞すると、処理ミスが発生する可能性が高くなりますので、円滑に引き継ぎを進めることを心掛けてください。

税理士間で顧問の引継ぎは行われない

顧問税理士の交代は会社(経営者)の意思で行うものですので、税理士同士で引継作業を行うことはありません

したがって、企業は現在依頼している税理士事務所から書類等をすべて返却してもらい、新しい顧問税理士に必要書類を渡す必要があります。

契約が円満に満了していないと、書類等を返却してもらえないケースや、返却するのに時間を要することもあるので注意してください。

新しい顧問税理士に必要書類を確認する

新しく顧問を依頼する税理士については、現在の書類を渡すだけでなく、過去の関係書類も必要になります。

依頼する業務が従来の税理士とは異なる場合には、税理士に提供すべき帳簿書類を確認してください。

連絡や連携に乱れがあると税務処理が遅れてしまったり、申告書作成に影響することがありますので、引き継ぎの時点で意思疎通を図れる体制を整えるのがポイントです。

まとめ

顧問税理士の引き継ぎは会社を経由して行うことになりますので、新しい顧問税理士に依頼する業務内容は引き継ぎの時点で確認してください。

税理士の引き継ぎに失敗すると、税務関係の事務に支障をきたしますし、申告誤りは税務調査に発展する恐れがあります。

税理士にも横の繋がりがありますので、顧問税理士に不満があったとしても無下な対応は控え、円満に税理士を変更できるように努めることが肝要です。

元銀行員×税理士フカオーくん のメチャクチャわかりやすい財務と融資のブログ

元銀行員×税理士フカオーくん のメチャクチャわかりやすい財務と融資のブログ