税務調査で修正申告書を提出する際に課されるペナルティの種類

税務調査で修正申告書を提出する際に課されるペナルティの種類

税務調査で申告誤りの指摘を受けた場合、罰則として本税以外の税金も支払うことになります。

本記事では、税務調査で修正申告書を提出する際に課されるペナルティの種類について解説します。

税務調査で課されるペナルティは加算税・延滞税

申告期限内に適正な申告および納税をしなかった場合、附帯税として加算税・延滞税が課されます。

加算税とは

加算税は、法定申告期限までに適正な申告がなされない場合に課される税金です。

国民には納税義務が課されていますが、加算税には義務違反に対する行政制裁の性格があります。

加算税の種類としては、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税があり、申告内容等によって課される適用される加算税は異なります。

延滞税とは

延滞税は、納税者が法定納期限までに本来納めるべき税額を納付しない場合に課される税金です。

期限内納付を促進させる観点と、期限内に納付した方との権衡を図る必要性から、遅延利息に相当する額を延滞税として支払います。

延滞税と似た税金に利子税がありますが、利子税は延納などの申告期限の時点で納付の延長が認められた申告に対して課される税金です。

延滞税の額は罰則として課されますが、利子税の額は約定利息に相当するものであり、延滞税と利子税に適用される利率は違います。

税務調査を受けた際に課される加算税の種類

税務調査で申告誤り等を指摘された場合、加算税を支払うことになりますが、指摘された状況によって課される加算税の種類は変わります。

原則は過少申告加算税の対象

過少申告加算税は、 期限内申告書を提出した後に税務調査を受け、修正申告書を提出した際に課される税金です。

過少申告加算税の税率は10%で、期限内申告税額相当額または50万円のいずれか多い金額を超える部分があるときは、加重分として5%を上乗せした15%が課されます。

調査通知以後から調査による更正等予知前までの間に修正申告を行えば、適用される過少申告加算税の税率は5%に軽減されます。

また、調査通知前に申告誤りを把握し、自主的に修正申告書を提出した場合、過少申告加算税は課されません。

当初申告が期限後の場合には無申告加算税の対象

無申告加算税は、期限後申告書を提出した際に課されるペナルティで、税率は15%、 50万円を超える部分に対しては加重分として5%上乗せした20%が課されます。

自主的に期限後申告をした際の税率は5%、調査通知以後から調査による更正等予知前までの間に提出した申告に対する税率は10%です。

自主申告に対する無申告加算税には加重分の適用はありませんが、調査通知以後から調査による更正等予知前までの間に提出した申告に対する無申告加算税は、加重分の対象です。

修正申告書を提出した場合、原則は過少申告加算税の対象です。

しかし当初に提出した申告書が期限後申告だった場合、税務調査により提出する修正申告に対して課される加算税は、過少申告加算税ではなく無申告加算税となりますのでご注意ください。

また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税からは、300万円超の高額無申告に対する税率は30%に引き上げられるため、今後は罰則がより重くなります。

脱税行為は重加算税の対象

重加算税は、申告書を作成する際に基礎となるべき事実を隠蔽したり、申告内容を仮装していた場合に課される税金です。

過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるペナルティで、加算税の中で罰則が最も重いです。

<重加算税の税率>

種類

税率
過少申告加算税に代えて課す場合 35%
無申告加算税に代えて課す場合  40%

 

税務調査官は、税務調査で申告誤りを調べることはもちろんのこと、仮装隠蔽行為の有無もチェックしています。

調査時の虚偽答弁は重加算税が課される要因となりかねませんので、税務調査官からの質問に対しては偽りなく回答する必要があります。

税務調査を受けた際の延滞税の計算

延滞税は、納付するタイミングによって税率および税額が変動します。

延滞税の計算方法

延滞税は納付が遅れたことに対する罰則ですので、申告期限から納付までの日数に応じた税額が課されます。

<延滞税の計算式>
納付すべき本税の額×延滞税の割合×日数=延滞税の額

延滞税の割合は、納期限までの期間および納期限の翌日から2月を経過する日まで年利7.3%、2か月を経過した後は年利14.6%です。

ただし、各年の延滞税特例基準割合が年7.3%満たない場合には、下記の計算式により算出した年利が適用されます。

<延滞税の割合>

延滞税の期間 本則 令和3年1月1日以降 
納期限までの期間および、納期限の翌日から2月を経過する日まで 7.3% 延滞税特例基準割合+1% 
納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後 14.6% 延滞税特例基準割合+7.3% 

 

執筆時点において、延滞税特例基準割合は年7.3%未満です。

そのため、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの延滞税の割合は、2か月以内は年利2.4%、2か月超は年利8.7%となっています。

延滞税の控除期間の適用

延滞税は納付が完了するまでの日数に応じて算出することになりますが、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書が提出された日までは、延滞税の計算期間から控除されます。

たとえば法定申告期限内に申告書を提出し、2年後に税務調査を受け、修正申告書を提出・納付した場合、延滞税の対象となる期間は申告期限の翌日から1年です。

修正申告書を提出した後は控除期間の対象にはならないため、修正申告書を提出日と同じ日に差額の本税額を納めるのが望ましいです。

なお、偽りその他不正の行為があった場合、延滞税の控除の適用は認められませんのでご注意ください。

加算税・延滞税の支払いを抑える方法

加算税・延滞税は、期限までに申告・納付が完了していないことに対するペナルティであるため、期限内に手続きが完了していれば課されることはありません。

税務調査を受けることになった場合でも、申告誤りを指摘されなければ加算税・延滞税を支払わずに済みます。

自主的な修正申告に対して過少申告加算税は課されませんし、無申告加算税の対象になったとしても適用される税率は5%に軽減されますが、延滞税については納付が遅れた日数で計算することになるため、納付が遅れるほど延滞税の額は多くなります。

また、自主申告等であったとしても、申告誤りの指摘を受けることを知っていた(更正等予知)場合には、加算税の軽減措置は適用されません。

そのため申告内容の誤りに気が付きましたら、早めに修正申告書を提出することを推奨します。

まとめ

税務調査で修正申告書を提出する場合、基本的には過少申告加算税の対象となりますが、脱税行為を行っていれば重加算税の対象です。

一方で、税務調査で申告誤りを指摘される前に修正申告書を提出すれば、ペナルティを軽減することができます。

調査の対応を間違えると、罰則が重くなってしまう可能性がありますので、申告誤りに気が付いた時点で早めに対処してください。

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