創業融資の概要と種類。起業当初に活用すべき制度を紹介 

創業融資の概要と種類。起業当初に活用すべき制度を紹介

事業を始める際は設備費等がかかりますし、当面の運転資金も確保しなければなりません。
自己資金を用意することも大切ですが、融資制度を利用して資金を集めることも選択肢に入れた方がいいでしょう。

本記事では、創業融資の概要と利用できる制度の種類、そして活用すべき融資制度をご紹介します。

創業融資の概要

創業融資は、事業を立ち上げた当初に外部から資金を調達する方法をいいます。

事業者が資金調達する場合、金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、融資元の選択肢は金融機関だけではありません。
融資元ごとに融資金額や返済期間、金利などは違いますし、審査を通過する難易度も異なります。

金利が高いと返済額が増加し、経営を圧迫する恐れもあるため、起業した当初に利用する融資選びは重要です。

創業時に利用できる融資制度の種類

創業時に利用できる主な融資制度は、以下の4種類です。

金融機関の融資制度

事業者が融資を受ける際、最初の選択肢に挙がるのが銀行や信用公庫などの金融機関です。

金融機関ごとに融資を受けるための条件は異なり、経営状態等によっては審査期間が短くなる場合や、低金利で資金調達できるケースもあります。
信用金庫は地元に根付いた金融機関ですので、中小企業はもちろんのこと、小口融資であれば個人事業主でも利用しやすいのが特徴です。

一方で、金融機関もビジネスとして貸付けを行っている以上、返済リスクの高い事業者へ融資することはありません。
創業当初は事業実績が無いので融資審査は厳しく、希望額を借りられないことも想定されます。

また融資金額が大きくなれば担保提供が求められますので、小規模から事業をスタートする際は利用しにくいのが難点です。

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫は、平成20年10月1日に発足した金融機関です。
株式会社ではありますが、日本政策金融公庫の株主は国であるため、政府系金融機関として活動しています。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関から融資を受けることが難しい事業者等を支援するために貸付けを行っていますので、創業当初でも資金調達しやすいのが特徴です。

中小企業や個人事業主であっても、銀行などから融資を受けられることもありますが、信用が低い事業者への融資は金利が高めに設定されます。

それに対し、日本政策金融公庫の金利は比較的抑えられていますので、創業時でも利用しやすいです。

地方自治体の制度融資

制度融資は地方自治体が行っている融資制度で、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して融資を行っています。

地元の事業者を支援し、地域を活性化させる目的がありますので、比較的利用しやすく、低金利で融資を受けることができるのが魅力です。

注意点としては、地域ごとに利用できる制度融資の種類が異なるため、事業者の地域に条件の合致する制度融資が無い可能性もあります。

地方自治体が主体となって融資をしている関係上、地元以外の企業等が利用するのは難しく、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して融資を行う仕組みなので、融資の申し込みをしてから審査を通過するまでに時間を要します

そのため制度融資を創業時に活用したい場合は、審査が通過する時期を逆算して申請しなければなりません。

ノンバンクのビジネスローン

ノンバンクのビジネスローンは、金融機関以外の会社が事業資金を融資するサービスです。
ノンバンク会社には消費者金融やクレジットカードなどがあり、申し込みをして融資を受けるまでの期間が短いのが特徴です。

担保が必要になるケースは少なく、創業当初でも利用しやすいですし、融資額が少なければ即日で融資を受けられることもあるため、緊急で資金が必要になった際は選択肢となります。

ビジネスローンのデメリットとしては、金利が高めに設定されているため、融資金額が多い場合や返済期間が長い場合、利息として支払う額が大きくなります。

返済利息の増加は経営悪化に繋がりますので、基本的には低金利の融資制度を優先して利用した方がいいでしょう。

創業時は「日本政策金融公庫」の融資制度が利用しやすい

創業時に資金調達する場合、特に利用しやすいのが日本政策金融公庫の融資制度です。

創業当初は融資を受けるのが大変ですが、日本政策金融公庫は融資審査のハードルが低く、担保提供・保証人不要で融資を受けることができます。

金利も比較的抑えられていますし、担保提供が可能であれば適用される金利は下がりますので、事業者の状況次第では、より好条件で資金を調達することも可能です。

日本政策金融公庫の創業融資を利用する際の注意点

日本政策金融公庫の創業融資にも審査はありますので、事前準備は不可欠です。

融資申請は創業前後の一定期間内に行うこと

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、新たに事業を始める方または、事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象としています。

3期目以降の事業者は制度を利用できませんので、すでに事業を開始している場合には、早い段階で申し込みすることも検討してください。

また自己資金の要件もあるため、最低限の資金を保有していない事業者は、新創業融資制度を利用できません。

事業資金の用途が限定されている

創業融資は、融資金額を利用する用途が定められていることが多いです。

先ほど紹介した「新創業融資制度」は、事業を開始または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金として使うことを前提としている制度であるため、それ以外の用途に資金を用いることはできません。

創業計画書の重要性

創業当初は事業実績がないため、融資を受ける際には創業計画書の提出が求められます。

創業計画書は、代表者の略歴や事業内容、事業の見通し等をまとめた書類です。

日本政策金融公庫で融資を受ける場合、創業計画書の内容は審査に大きく影響するため重要度が高く、計画書の内容を仕上げないと審査を通過するのは難しいです。

まとめ

日本政策金融公庫は創業当初に利用しやすい制度ですが、準備を怠ると審査に落ちますので注意してください。

審査に落ちれば事業資金を調達できないだけでなく、一定期間融資の申請を行えなくなります。

そのため創業融資を受ける際は、専門家に相談しながら創業計画書を作成するなど、十分な対策を講じてから申請手続きを行ってください。

元銀行員×税理士フカオーくん のメチャクチャわかりやすい財務と融資のブログ

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