惰性での契約延長は禁物。顧問税理士を変更するメリット・デメリット
惰性での契約延長は禁物。顧問税理士を変更するメリット・デメリット
顧問税理士は確定申告書の作成だけでなく、税金に関する質問・相談ができる身近な存在です。
不満を抱えている状態で顧問を続けてもらうのは、経営面からもプラスに作用しませんので、税理士を交代することも選択肢に入れてください。
顧問税理士の変更を検討するのは正しい行為
同じようなサービスを提供する会社がある場合、それぞれの料金やサービス内容を比較します。
サービスを利用する立場によって求めている内容は違いますので、満足できるサービスを受けるためには、条件に合ったプラン等を利用することが重要です。
税理士の事業内容は事務所ごとで大きく変わることはありませんが、提供されるサービス内容は個々に違います。
現在の顧問税理士で提供されていないサービスが他の税理士事務所で受けられる場合、交代した方が会社にとって良い選択となりますので、惰性で顧問契約を更新するのは止めましょう。
顧問税理士を変更した方がいいケース
顧問税理士が次のいずれかに該当する場合、税理士の変更を検討してください。
税理士の態度・対応に満足していない
顧問税理士は、報酬を対価として申告書の作成や税金に対するアドバイスを行う職業ですので、対価に見合う価値を提供することが求められます。
能力が高ければ、人となりは関係ないと思われるかもしれません。
しかし、気軽に相談やアドバイスを受けられないのは、顧問税理士としての役割を果たしているとは言い難く、連絡・対応が遅いのも顧問としてはマイナスです。
価値の考え方はそれぞれですが、横柄な態度をしている税理士に会社の重要事項を相談することはできませんので、信頼を置ける税理士を探した方がいいでしょう。
費用対効果が得られている実感がない
報酬の額も税理士選びの重要な要素ですが、税理士を替える際は報酬金額だけでなく、費用対効果の側面も踏まえて検討してください。
税理士報酬は税理士事務所によって異なり、報酬金額の大小がそのまま税理士の良し悪しに直結するとは限りません。
報酬金額が安い税理士は一見すると良い税理士に感じるかもしれませんが、積極的な節税アドバイスはあまり期待できません。
一方で、相応の対価を受け取っている税理士は手厚いサービスを提供しますし、報酬金額以上の節税効果を得ることができれば、必要経費として価値のある対価を支払うことができます。
最新の税に関する情勢に疎い
長年同じ税理士に依頼している場合や、先代から経営を引き継いだ企業に多いのが、顧問税理士の知識がアップデートされていないケースです。
税金に関する法律は毎年改正されていますし、経済を活性化させるために優遇措置が期間限定で設けられることもあります。
ニッチな特例制度は経営者が適否判定をするのは難しく、顧問税理士に判断を仰ぐことになりますが、税理士が最新の税制に疎い場合、知識不足により判断を見誤ることもあるので要注意です。
年齢の高い税理士は蓄積された知識を有していますが、最新情報に疎い傾向がありますし、新規顧客を獲得していない税理士もその傾向が表れることがあるため、節税制度を最大限活用したい場合は税理士の交代も考えてください。
顧問税理士を変更するメリット
現在抱えている不満・問題点の解消
顧問税理士を変更する最大のメリットは、現在抱えている不満点や問題点を解消できることです。
態度が横柄な税理士は相談もしにくいですし、アドバイスが適切であるかも不安になってしまいます。
しかし、税理士を交代することで気軽に相談できるようになれば、企業が抱えている問題を解消できるようになりますし、親身になって対応してくれる税理士は企業の状況にあった節税方法も提案してくれます。
節税効果だけでなく経営の改善も見込める
税金の支払いは会社によっての負担となりますので、業績を伸ばしつつ課税対象金額を抑えることがポイントです。
たとえば減価償却資産は、耐用年数に応じて毎年経費計上することができますので、購入するタイミングや特例制度の利用の有無で節税できる額は変わってきます。
また損失金額は、他の事業年度の黒字と相殺することもできますので、赤字の発生をうまく活用することで各年の利益を平準化させ、税負担を軽減することができます。
顧問税理士を変更するデメリット
税理士の変更により状況が悪化する可能性もある
後任の税理士は、必ずしも前任の税理士より優れているとは限りません。
報酬金額など、一つの側面だけで判断してしまうと、税理士を交代したことがマイナスになってしまうことがあります。
税理士を変更する際のリスクを回避する方法としては、突発的に税理士を交代するのではなく、計画的に後任を選定することが大切です。
優良な税理士は人気があるため、依頼しても即座に引き受けてくれるとは限りませんので、依頼するタイミングも大切です。
条件に見合う税理士がいない場合、見つかるまでの間は現在の税理士に顧問を継続してもらうなど、短期的に顧問税理士の交代を決断しないことが失敗しないためのコツです。
税理士変更に伴う労力が発生する
税理士を交代する場合には、前任から書類等を引き継ぐことになりますので、相応の労力が伴います。
契約途中の交代であれば違約金が発生することもありますし、スムーズに引き継ぎを完了させるためにも、円満に契約を終了させることが大切です。
また、顧問税理士が交代したことにより、税理士へ渡す資料等の提出方法が変わる可能性もあります。
作業が効率化する場合でも、慣れるまでは以前よりも時間を費やすことになりますので、閑散期など、事務作業が慌ただしくない時期に顧問税理士を交代することが望ましいです。
税理士交代と税務調査の因果関係はない
税理士が交代すると税務調査を受けやすくなるとの話がありますが、直接の因果関係はありません。
税務署は申告内容に誤りがあれば指摘しますし、申告内容が正しければ税理士が変更しても税務調査を実施しません。
ただし、売上金額が同程度にもかかわらず経費が大幅に増加したなど、申告内容に大きな変更があった場合には、税務調査が実施される確率は上がりますのでご注意ください。
まとめ
会社にとって税理士報酬は支出ですので、より高い費用対効果を求める際は、顧問税理士を替えることも選択肢です。
引き続き同じ税理士に顧問を依頼する場合であっても、現在の顧問税理士の良し悪しを確認することは大切です。
現在の問題点を洗い出し、求めている条件に合致する税理士が見つかった際は、交代することも検討してください。