株式会社を設立するための条件・費用と必要な手続きを解説
株式会社を設立するための条件・費用と必要な手続きを解説
株式会社を設立するためには一定の条件を満たすだけでなく、定款の認証や登記などの手続きも必要です。
本記事では、株式会社の設立条件と、設立する際の流れについて解説します。
株式会社の基本情報
株式会社は会社形態の一つで、経営者と株主の立場が分かれているのが特徴です。
経営には株主でなくても携わることはできますし、株主は経営に一切関与せず配当だけを受け取ることも可能です。
会社が事業資金を調達する手段として、金融機関から融資を受ける方法がありますが、株式会社については、株式を発行することで資金を調達することができます。
株式会社を設立するための条件
株式会社を設立するためには、発起人が資本金を用意し、登記手続きを行う必要があります。
株式会社は発起人1人でも設立できる
発起人は株式会社の設立時に資本金を出資した人をいい、発起人1人でも株式会社を設立することができます。
そのため個人事業主が自己資金を元手に、株式会社を設立することも可能です。
資本金は1円から
平成18年5月1日の会社法施行に伴い、 最低資本金制度が廃止になりました。
最低資本金制度が廃止される以前は、株式会社の設立には1,000万円以上の資本金が必要でしたが、現在は資本金1円で株式会社を立ち上げることができます。
一方で、株式会社よりも設立する敷居が低かった有限会社については、現在新たに設立することはできません。
登記手続きは必須
株式会社は、法務局で登記手続きを完了させないと、法人として活動することができません。
法人登記には、社名や事業内容などの基本事項だけでなく、定款の作成も必須となりますので、事前準備が不可欠です。
株式会社を設立する際の手続きの流れ
株式会社を設立する際は、定款を作成した後に登記手続きを行います。
定款の作成
定款は、法人が活動する際のルールを定めたもので、株式会社を設立する際は発起人が定款を作成することになります。
定款を書面で作成する際には4万円かかりますが、電子定款であれば費用はかかりません。
作成した定款は公証役場で認証を受けなければならず、資本金の額に応じて認証手数料が発生します。
<定款の手数料>
資本金の額 | 手数料の額 |
100万円未満 | 3万円 |
100万円以上 300万円未満 |
4万円 |
上記以外 | 5万円 |
定款の記載事項には、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項があります。
絶対的記載事項は、 会社を設立する目的や商号など、定款に必ず記載しなければならない事項です。
相対的記載事項は会社法の規定により、定款に定めがなければ効力を生じない事項をいい、記載が無いことで不利益を被らないためにも、必要となる相対的記載事項は定款に盛り込むことが望ましいです。
また、相対的記載事項の中でも変態設立事項に該当するものは、定款に記載するだけでなく、検査役の調査を受けなければなりません。
任意的記載事項は定款の記載事項のうち、会社法の規定に違反しない絶対的記載事項および、相対的記載事項以外の事項をいいます。
<定款の記載事項>
記載内容の種類 | 記載事項 |
絶対的記載事項 |
|
相対的記載事項 | 〇変態設立事項
〇上記以外
|
任意的記載事項 |
|
出資の履行
各発起人は株式会社の設立に際し、金銭等の払い込みを行い、発行株式を1株以上引き受けなければなりません。
定款で次の事項が定められていない場合には、定める必要があります。
- 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
- 設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
- 成立後の株式会社の資本金および、資本準備金の額に関する事項
法律上は株式会社を1円で立ち上げることも可能ですが、資本金は会社の体力を示すものなので、ある程度の資本金は必要となります。
会社設立前に会社名義の口座は用意できませんので、発起人1人で設立する際は発起人個人の口座に払い込み、払込証明書を作成します。
登記申請・登記費用・印鑑登録
登記を書面申請する際は、申請人の代表者または代理人が登記申請書を作成し、所定の書面を添付の上、株式会社の本店の所在地を管轄する登記所に提出してください。
(オンラインで登記申請することも可能です。)
株式会社の設立登記に際しては、主に次の事項を登記します。
<株式会社の主な登記事項>
- 目的
- 商号
- 本店および支店の所在場所
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 発行する株式の内容
- 発行済株式の総数ならびに、その種類および種類ごとの数
- 取締役の氏名
- 代表取締役の氏名および住所
- 取締役会設置会社であるときは、その旨
- 監査役設置会社であるときは、その旨および監査役の氏名
- 公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
株式会社の設立登記の登録免許税額は、資本金の額に0.7%を乗じた金額です。
ただし、算出された税額が15万円に満たない場合、15万円を登録免許税として納めることになります。
個人の印鑑登録は役所で行いますが、法人の印鑑登録は本店の所在地にある法務局で手続きします。
登記事項証明書と印鑑証明書は設立後の手続きで必要になりますので、登記等が完了した際は、証明書を一定数量取得してください。
株式会社を設立した後の手続き
株式会社の登記手続きが完了しましたら、税務署や役所等に届出等を提出することになります。提出期限が定められている届出等もあるため、提出すべき書類は事前に確認してください。
また、法人に関する手続きは「法人設立ワンストップサービス」を利用することで、一連の流れで行うことができます。
法人代表者のマイナンバーカードおよび、対応したスマホまたはパソコン(必要に応じてICカードリーダライタ)を用意すれば、オンラインで設立手続きできますので、発起人自身が設立手続きを行う際は利用することも検討してください。
<法人設立ワンストップサービスで行える手続き>
- 国税・地方税に関する設立届
- 年金事務所・ハローワークなど、法人設立後に必要な全ての行政手続き
- 定款認証・設立登記
- GビズIDの発行
まとめ
株式会社は1人で設立できますし、ワンストップサービスを利用すればオンライン上で手続きを行うことも可能です。
ただ会社を立ち上げる際にやるべき作業は多く、届出の提出漏れや申請ミスは事業に影響が出ますので注意してください。
定款に記載すべき内容や出資金の額は、設立目的や事業内容によって違いますので、滞りなく会社を設立したい場合には、専門家に依頼するのが望ましいです。